《MUMEI》

私がお風呂から上がると、徹君が、『私の部屋でチェックしたい』と言い出した。

「別に、いいけど…」
「じゃ、行こう」

私達は、部屋に移動した。
私は、徹君に言われるまま、ダブルベッドに座った。
徹君は、椅子を持ってきて、私の向かいに、座り…

「はい、脱いで」

と、言った。

(…え?)

首を傾げる私のパジャマのボタンに、徹君が手をかけた。

「て、徹君? 傷、顔だよ?」

私は、ボタンを外そうとする徹君の手を掴んだ。

「顔もそうだけど、『こっち』もチェックするように、言われたんだよね」

『こっち』

「ま、待って!」

それは、いくらなんでも…
(恥ずかしい)

すると、徹君が、手を離した。

そして…

「俺、医者なのに…
駄目なの?」

(う…)

捨てられた、子犬のように、目を潤ませて、徹君が私を見上げた。

…徹君は、医者だ。

可愛い、『弟』だ。

そう、言い聞かせて…

私は、渋々

上着と…

タンクトップを脱いで

上半身裸になった。

さすがに、羞恥心は拭えず、私は、真っ赤になってうつ向いていた。

徹君は…

無言で、私の上半身を

くまなく…

チェックした。

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