《MUMEI》

どうやらケイトさんは…

徹君を、母さんが探してる私の『結婚相手』だと、誤解したらしい。

母さんは…
ケイトさんに、病院に来た理由を、『娘の事で相談がある』としか話していなかった。

そして、母さんは、ついでに病院で、私の『結婚相手』を探していたらしい。

徹君は、ケイトさんに、私の事を『年上だけど可愛い従姉妹』と話していた。

その従姉妹の母親が、従姉妹の結婚相手を探していて、徹君に何か相談していた―

「いくら『違う』って言っても、全然聞いてくれなくてさ」
「それで…ここにいて、大丈夫なの?」

私は、心配になった。

原因は、私と母さんだし。
「今、丁度ケイト研修中でさ。…二月位には、帰ろうとは、思う」
「そうね、早い方がいいわよ」

早く仲直り、してほしかった。

「…うん。志穂も、協力してくれる?」
「できることなら何でも言って!」

私の言葉に、徹君は、笑顔になった。

「ケイトにさ、メール送りたいから、携帯時々貸してほしいんだ」

「え、でも…」

私のアドレスで送って大丈夫だろうか。

「大丈夫。ちゃんと説明するから」
「そう?」

徹君が大丈夫ならと、私は時々携帯を貸す事にした。

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