《MUMEI》 「そうですか。一応、大丈夫だと思いますけど、客室で様子みたいから、運んでもらえます? 屋代さん」 「あぁ…」 丁寧な口調の徹君を、祐希君が警戒していたようなので、私は徹君が医者だと説明した。 「じゃ、行きましょうか」 納得した祐希君は、慎君を軽々とお姫様だっこして、徹君に続いて客室に入っていった。 (それにしても…) 木下君が、徹君を私の『彼氏』だと、誤解していたとは… 言いふらされていたら、私も徹君も迷惑だから、後日きちんと訂正の電話をしようと思った。 (それに…) きっと木下君が慎君に無理矢理たくさん飲ませただろうから、その件も注意しなければと思った。 ―その時。 客室から、徹君が出てきた。 「どうだった?」 「大丈夫。全部吐いたみたいだし、今ちょっと起きて、自分で、これ、飲んだし」 徹君は、空になったペットボトルを持っていた。 「良かった」 「良くない…俺、今日どこで寝るわけ?」 私は少し考えてから、 「私のベッド使う?私はリビングのソファーベッド使うから」 と提案した。 リビングの長いソファーは、ベッドにもなるタイプのものだった。 前へ |次へ |
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