《MUMEI》
嫌われた?
ガチャッ

「ただいま」

私が玄関のドアを開けると…

「おかえりなさ〜い!」

徹君が、甘えた口調で、バタバタとに走ってきた。

「徹君、留守番、ありがとね。慎君は?」
「あれ?さっきまでリビングにいたんだけど…」

そこへ、荷物を持った、慎君が現れた。

まっすぐ玄関に向かっている。

「慎君?」

慎君は、何故か機嫌が悪く、話しかける私を無視した。

『…顔もみたくない』

そんな感じだった。

「お礼も無いなんて、失礼ですよ?」

徹君が話しかけたが、慎君は無言だった。

「あ、あのね。
駐車場に、祐希君待ってるから」

『祐希君』

慎君は、その名前にだけ反応した。

玄関を乱暴に閉めると…

走っていく慎君の足音が聞こえた。

台所を見ると…

朝作った雑炊が、そのままになっていた。

理由はわからないが、私は慎君に嫌われたようだった。

せっかく、祐希君と話し合えたのに…

無駄になってしまったなと…

私はぼんやりと考えていた。

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