《MUMEI》 バレンタイン二月に入っても、徹君との生活は続いていた。 「そろそろ、ケイトさん、研修終わったんじゃない?」 「そうみたい。『会いたい』ってメール来た」 「じゃあ…」 「まだ、だめ」 私の方を見て、徹君が言った。 「…どうして?」 私の質問に徹君は… 「まだ果穂さんからの依頼、終わってないから」 と答えた。 (まだって…) 傷跡チェックもしたし、林先生とも話し合っていたし。 他にも何かあるのだろうか。 私が疑問に思っていると、携帯が鳴った。 この着信音は、慎君だった。 すると… 「しつこいですね、相変わらず」 当たり前のように、徹君が出た。 徹君が私の携帯を持っている時間が長いので、慎君からの電話も取る事が多かった。 ちゃんと私に替わってはくれるけれど、慎君に対する口調がきついような気がした。 「ごめんね、毎回」 『人に携帯とられるなよ』 慎君が、不機嫌になっていた。 『私と母さんのせいで彼女とケンカしてるから』 とは言えなかったので… 「何かね、ふざけてるんだ、いつも」 と説明した。 『ふ〜ん』 慎君は、更にイライラしたようだった。 前へ |次へ |
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