《MUMEI》

「何、これ…」

慎君から渡された、ピンクの袋の中身を見て、私は途方にくれた。

下着は、布の面積が少ない白い…ヒモで両端を結ぶ、パンティだけで、ブラも、タンクトップも入っていなかった。

後は…

真っ白な、シャツワンピース。

貴子ちゃんがいつもこだわる『膝上丈』だった。

(しかも、これって)

私は、恐る恐る下着とそれを身に付ける。

この下着…

ヒモがほどけたら、あっさり取れそうだ。

そして、問題の、シャツワンピースは…

一番上までボタンを止めてもまだ、胸の谷間が見えるほど、胸元が開いていた。
見えるのが、谷間や鎖骨だけなら、まだいい。

しかし、私の場合は…

良幸さんに付けられた、無数の醜い『傷跡』があった。

(どうしよう…)

私は、とりあえず、脱衣所にあるタオルで隠してみた。

タオルを首に巻いて、胸元にグイグイ押し込み、もう一枚、頭からかぶってみた。

傷は隠れたけれど…

これはこれで、かなり、おかしかった。

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