《MUMEI》

「佐藤だけだったよ、夢中になったのは。
…………もうしない。」

墓場までこの欲望は持っていく。
近付くときも、ちゃんと友達でいる。


「……なあ、そういうことは一人前になってから言うものだろう。
黙って帰るなコラ!!」

帰りもするさ。
頭も体も冷やさなければ。
腰抜かしたままの佐藤はどこか滑稽だった。
一人で立てないのをいいことに置いていく。


「……また、学校でな!」

また、とはいつもの通り友人でいるってことだ。
結局は俺が佐藤の魅力に負けたということか。

人を好きになるって難しいな。

体が興奮している分、思考が冷静だ。

……トイレ入っとくか。

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