《MUMEI》
新しい朝
昨日は夕方からいろいろあって、体がだるかった。

私は低血圧で…

よほど気合いを入れないと、寝起きがとても悪い。

今日はバイトも休みだから、私の体と頭は脱力状態だった。

そんな私に…

「…志穂。
今日、…仕事?」

『誰か』が、髪を優しく撫でながら、問いかけてきた。

「ん…休み〜
まだ、…寝る…」

私は、すぐに目を閉じると、隣にある温もりに、すりよっていった。

(何だろ、これ…)

すごく、安心する。
「し…ほ…」

「…ん〜」

私は、まだ寝ぼけていて、体を丸めながら、その温もりに顔を近付けた。

(気持ちいいな…)

「あった…かい」

私は、思わず頬ずりをした。

(…ん?)

何故か、ゆっくりと、体が仰向けになった。

そして、口の中に、何度も温かいものが出入りしてきた。

「ん?…っ…ふ…」

私が、息が苦しくなって、思わず目を開けると、そこには、慎の顔が至近距離であった。

慎は、構わず…キスを続けてきた。

「ちょっ、えぇ?…っ…待っ…」
混乱する私に、慎は…

「待たない」
と、きっぱり断言した。

私は…そのまま、慎に、食べられた。

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