《MUMEI》 私が台所で味噌汁を作っていると、 「お、いい匂い」 慎がシャワーを浴びて、出てきた。 「じゃあ、私もシャワー浴びるね」 私は、火を止めて、慎の横を早足で通り過ぎた。 照れてしまい、慎の顔がまともに見れなかった。 いつもと違い、私は短時間でシャワーだけ浴びた。 「お待たせ」 ―数分後。 タートルネックの上着に、ロングスカートを履いて、私はダイニングキッチンに戻った。 「残念。さっきのシャツワンピースが良かったな」 「…今、二月だから」 私は、うつむきながら答えた。 (それに…) 身体中に、慎が付けた『印』が残っていた。 そして、私達は、ダイニングキッチンのテーブル席で、純和風の朝食を食べた。 私は、朝食の片付けが済むと、昨日アルミホイルで包んだパウンドケーキを切り分け、ラッピングを始めた。 前へ |次へ |
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