《MUMEI》

「おかえり、徹君
…おはよう、祐希君」

「…あぁ」

私と祐希君の間に、微妙な空気が流れた。

すると、徹君が、慎の肩を叩いた。

「?何だよ?」

慎が睨むと…徹君は、

「ちゃんと、…出来た?」
と質問してきた。

(なっ…)

その言葉に、私の顔が真っ赤になった。

私の様子から、全てを理解した徹君は、大きくため息をついた。

そして、携帯を取り出した。

「もしもし、俺です。
はい、食付きました。
これで俺、帰っていいですよね?…は?…
あぁ、そっちは大丈夫です、はい。
で、いつこっちに?
え?! はい…」

徹君は背筋を伸ばし、相手に何か報告しているようだった。

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