《MUMEI》

「彼女です、俺の。じゃあ!」

そう言って、本当に、徹君は出ていってしまった。

慎は、一人呆然としていた。

私は、徹君が電話相手―母さんに話していた内容を、思い出していた。

(もしかして、徹君への依頼が三ヶ月だったのって…)

「あ〜慎? 志穂も。これから俺が話す事、よく聞けよ?」

そして、祐希君は、昨日徹君から聞いたという話を、私達に説明した。

「「…」」

その内容に、慎と私は絶句した。

「…マジ?」

慎の言葉に、祐希君は深く頷いた。

「ありえない話じゃないわね」

むしろ、母さんなら、やりかねないと、私は、すぐに納得した。

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