《MUMEI》
両親、帰国
そして、運命の時はやってきた。

私達三人が、テーブル席に座っていると…

ガチャッ

チャイムではなく、鍵を開ける音がした。

そして、扉が勢いよく開いた。

「母さん?」
「ただいま〜志穂〜
会いたかったよ!」

母さんは、そう言って、私を抱き締めた。

母さんは相変わらず、四人の子持ちとは見えないほど、スタイルがよく…
大兄さんとよく似た美しい顔立ちをした、長身の女性だった。

ちなみに、私は目立つのが嫌で、学校行事全般は、父さんに来てもらっているから、母さんと慎は、今日が初対面だった。

「やぁ、志穂。久しぶり」
二人分の荷物を持ったスーツ姿の父さんに、私は、母さんの腕の中から頭だけを何とか向けて、

「おかえりなさい、父さん」

と言った。

父さんは、秀兄さん似の細い目をしているのだが印象は正直、地味、なので、慎は、何度も会っているのに、初めて会ったような、表情をした。

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