《MUMEI》 統テガ新シク「林太郎君、こちら君の父君の直ぐ下の弟の長男で慶一君だよ。 つまり、君の従兄弟にあたるね。」 春三の真後ろに立つ慶一の気配の無さに林太郎は内心驚かされた。 使用人も多く取り囲む広間で顔に出せば第一印象から下手に見られることがある。 それを踏まえて林太郎は眉を微動させる程度で堪えた。 「君の方が僕より二つ年上なんだ。」 慶一の柔らかい口調は眠気を誘う。 顔立ちもふくよかで、いい育ちだと一目で解る。 慶一がのったりと片手を突き出して来るので、何か取り出すのだろうと待ってみるも、反応は無かった。 それが握手の動作だと林太郎が気がついたのは十数えた頃だ。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |