《MUMEI》
そして…その後
そして、私達は春を迎えた。

ここは、母さんの知り合いのフォトスタジオ。

シャッ

私達『三人』は、同時に、更衣室のカーテンを開けた。

「お、似合ってるじゃん。二人共」

真ん中から出てきた慎が、左右を見た。

「…ありがとう」
照れながら出てきた私は、マーメイドラインの、タイトなウェディングドレス。

「…何で、俺も」
不満げに出てきた祐希君は、黒のタキシード。

「まぁまぁ」
そう言った慎は、シルバーのタキシード。

―そう。

今日、私達は、『結婚写真』を撮りに来ていた。

ちなみに、私と慎の婚姻届は、昨日提出済みで、私は『仲村志穂』になっていた。

私が二回目だからという事もあり、結婚式は、行わない事にした。

―というか、三人だけで、『写真だけの結婚式』をやりたいと、慎が希望したのだった。

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