《MUMEI》

写真は、まず、慎と私で一枚。

それから、慎と祐希で、一枚。

そして、三人で一枚。

それから、何故か私の兄妹の強い要望で、私のみ、一枚撮った。

当初は、これで終りの予定だった。

「もう、俺、着替えていい?」
「あ、ちょっと待って!」
突然カメラマンが、祐希を引き止めた。

そして、
「ねぇねぇ、この二人で、撮らせて!」
と、私を指差した。

「「え…」」

「いいですよ」

顔を見合わせる私と祐希にかわって、慎が答えた。

「やった!」
カメラマンが喜ぶ。

「「慎!」」
私と祐希は、慎を、睨んだ。

「いいじゃん。…俺も見たいし」

(仕方ないな)

慎の言葉に、私と祐希は同時にため息をついた。

「さっさと、終わらせるよ、祐希」
「わかったよ」
最近、私と祐希はお互い呼び捨てで呼び合っていた。
私達は開き直って、腕を組み、笑顔を作った。

パシャッ

そして、撮られた、最後の一枚を…

何故か、慎は、すごく気に入っていた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫