《MUMEI》

「あら、知り合いね?」
「同じクラスやもん!まさか、隣りの家とはなぁ。」


転校生、上田陽介君が隣りに引っ越して来ました。



はぁ。何で名前聞いた時点で気付かなかったんだろうな…。


「そぎゃんねぇ。葵央ちゃん、うるさい子ばってん宜しくねー」

「ばあちゃん、うるさいは余計や!」


転校生、上田君のおばあちゃんはニコッと笑って私にそう言った。それにすかさず上田君がツッコム。さすが関西人…

じゃなくって





どうしよう…
同じクラスで男の子が隣りの家にいるなんて、考えただけで鳥肌が立つ…


「ほらりぃちゃんっ!ぼさっとしとらんで、早く運んで!」
「あ。うんっ」

おばあちゃんにそう言われ、ハッとし、急いで足元に置いてあった段ボールを持ち上げた。


「うっ、重い…」

何入ってんの、これぇ。


「ママ!頑張って!」
ヨロヨロしながら歩いていると、後ろの方で宇葵の声がして、お尻を押してくれていた。


「ありがとー宇葵。頑張るよぉ」

なんだかちょっと元気になって、その後も荷物を持ち込む作業を、苦戦しながらも続けた。





そして…


1時間後には全部部屋に荷物を運んでしまっい、お疲れ様って事でお茶を貰った。

「はい、宇葵ちゃんにはリンゴジュース」

綺麗な女の人が、そう言って宇葵にコップに入ったリンゴジュースを差し出した。

「ありがとっ」

宇葵は少し恥ずかしそうにして、それを受け取ると、私の膝にちょこんと座りジュースを飲みだした。


「ありがとうございます。」
「いーえ、宇葵ちゃん頑張ってたから。
葵央ちゃんでしたよね?あなたもありがとうね」

「っ!」

優しく笑うその顔は、不意にお母さんに見えた。

ほんの、一瞬だけだったけど…

何だか凄く安心感があって、落ち着いた。


「私、陽介の母の沙月って言います。
宜しくね葵央ちゃん。」

「あ、はい。こちらこそ、宜しくお願いします。」

陽介の母と言われた時に、ちょっとビックリしたけど、私は普通に対応した。

だって凄く良い人そうだから。



「おかーん!ばあちゃんが呼んでるでっ」



「はーい、今行く。」

沙月さんは呼ばれて、じゃあと小さく手を振って置くの部屋に行ってしまった。

それと交代みたいに、上田君がひょこっと顔を出して、目があったと思えばニッコリ笑って近付いてきた。

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