《MUMEI》
ペチペチと頬を叩かれて眼が醒める。
「おい、大丈夫か?」
「んー、うん…」
「風邪ひくからベッド行こう?」
「んー…ムリ」
「しょうがねーなあ、よいしょっと!」
背中と脚にぐっと腕が入り、躰が少し宙に浮く、
が…
しかし直ぐに下ろされた。
「やっぱムリかー!ゆうちゃん軽いんだけど長さあっからなー」
「チッ…、抱っこして貰えるのかと思ったのに…」
と言いながら俺はむくりと起き上がる。
「おい!確り自力で起き上がれんじゃねーかよ!
てか意外と性格悪かったりする?なんか段々ボロが出てきてんぞ!!」
「はあ…、好かれる為ならネコ被んの当たり前じゃん、つかやっぱマジだるい…」
頑張って四つ這いでベッドに辿りつき何とか上がる。
ギシギシと激しい音と共に俺はベッドに沈んだ。
秀幸も俺の隣に来て、毛布をかけながら横になってきた。
少し壁ぎわにずれて、秀幸の胸に顔を埋める。
するとギュッと抱きしめられて、なんか凄くほっとして俺は長く息を吐いた。
「ダメだな俺、鍛えよーかなあ?抱っこしてやりてーもんなあ」
「良いよ、別に…、だって変に鍛えちゃって格好良くなって女の子にもてたらヤだもん」
「悪かったな!どうせ俺は格好良くねーよ」
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