《MUMEI》 戻らないしかし、それからいくら待てどもミユウは戻って来ない。 なんとなく心配になり探しに出かけたのだが、タイキはいまだにミユウのことをよく知らない。 どこを探せばいいのかわからなかった。 それでも頭を振り絞って足を進める。 初めて会ったスーパーの前、噴水のある公園、ファーストフードの店。 考えつく場所はすべて行ってみたが、どこにも彼女の姿は見当たらなかった。 やがて陽も暮れ、これ以上探す場所も思いつかなかったタイキは、仕方なく一度アパートへ戻ることにした。 もしかすると、またひょっこり帰ってくるかもしれない。 きっとそうに違いない。 心配するだけ無駄なのだ。 タイキは、そう心の中で頷くとミユウのために夕飯の弁当を買って、帰宅した。 しかし、予想に反してその日、ミユウは帰ってこなかった。 「……まあ、また明日帰ってくるだろ。いっつも突然来るからな」 タイキは楽観的に考えながら、弁当を冷蔵庫に入れ、その日を終えたのだった。 前へ |次へ |
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