《MUMEI》
愛でしょ!
「な〜んか腹減った」




「そーだな、あ、お粥余ってるぞ」



「…いらねー、ピザ取ろうかな」




「はー、ピザかー、腹の調子又悪くなりそ…お前の分だけにしろよ」



抱かれたけだるさも引いてきて俺はベッドから起き上がる。



つかなんかケツが気持ち悪い。

汗でごわついた髪を掻き上げながらふとテーブルを見ると、指ですくった跡くさいお粥がある。




「あー、はあ、これ使ったんだ…つかこれはもう食えねーな」

「いや食べるね、折角の手料理じゃねーか、それにもう作って貰えねー可能性もあるし?」

「また作るよ!指で触ったんだし、つか美味しくないんだから残せよ」

「やだね!だってさーその前にあの鍋借りモンだろー?
いくら自炊しなくたって鍋位普通あるだろ、始めに買うだろ、だからそんな奴が又作る可能性はゼロに等しい」

「作るよ!つかなんかめっちゃ腹立つ!よし、料理名人になって秀幸の事ぐうの音も出なくしてやる!」

「ハハハハッ、まー今時出来て当たり前なんだからその心ざしは良いこったな…、期待しねーで楽しみに待ってるよ」






秀幸も起き上がりベッドを降りた。
ボクサーだけ履いてテーブルに着き煙草を吸いだす。
俺はいつものピザを注文してからシャワーを浴び始めた。




つかあんなモン代用された現実を考えただけで、自分まで腹壊しそう。
中出しされたのを掻き出すとやっぱり粒が一緒に出てきた。
自分で用意した事なかったけどやっぱローションは買ってこよう。




あー、あと鍋とフライパン。




料理の本もだ、それも子供用の奴ね…、いや、DSで確かあった!!




ちょっとやる気と気合いが入った状況で風呂を出る。
さっぱりしながらバスタオルで躰を拭き、何気なくトイレを見ると…

ドアの上の端の丸い穴が明るい。




「まだ下痢ってんかい…しょーがねー腹だな」




ちょっと笑いが込み上げながらさっと着替え、とりあえずピザ代をテーブルに置いておく。





そして走り書きで置き手紙をすると、俺は急いでマンションを飛び出した。

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