《MUMEI》

磯野家に到着するまで、私は怪しまれずに家に入る口実を考えていた。

とりあえず、「波平さんと碁を打ちに来た」とでも言えば入れてくれるだろう。

隙をみてイヤリングを棚か机、どこでもいいから置けばいい。

磯野家の玄関が見えてきた。

「ごめんくださーい」

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