《MUMEI》

「…イイ香り、香水つけてるの?」
「なにソレ。こうすい?…洪水じゃないし、こうすい…降水?水が降ってくる?」
一般常識から外れている翼は、知らない単語が多い。
頭の辞書を一生懸命捲る。
「ん〜硬水?硬い水?そんなもんつけてどうするんだ?」
「…面白いね、翼ちゃんは」
必死に笑いを堪える遊津先輩。
「香る水、だよ。雰囲気を出す化粧品、みたいなものかな?」
「え〜俺、化粧したことない」
むー、と考える翼。
「リップクリームも?」
「…唇の食品?」
「あはははは!っ…面白いね、翼ちゃんはっ…」
腹を抱えて笑っているようだ。
「なんだよ!俺だって何も知らないの解ってるんだから!一生懸命おぼえようとしてるの!」
「ご、ゴメン…いやぁ、女の子の話題じゃダメそうだね」
顔を真っ赤にして怒鳴る翼に対して、遊津は可愛くて仕方ないという表情だ。
翼の段違いだったワイシャツのボタンを、ゆっくりと留めながら説明する。
「リップクリームは、唇が乾燥した時とかに塗る市販の医薬品。最近のは色がついたり香りがあるのが多いかな…」
「ふーん。面倒くせぇの…女ってそんなもん塗るの?」
「最近は男子も塗る人いるけどね」
「え、男も色つき使うの?!」
「まさか。香りだけだよ」
「…馬鹿みてぇ」
ネクタイを苦しくない程度でキュッと締めて、出来上がり。

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