《MUMEI》
疾く
守護騎士やリーベルの集団の先頭。
「ハンド、位置わかる?」
「ロゼの魔力があるのはこちらだが・・・戦闘が起こっているにしては魔力の動きが少数のようだが・・」
彩詩、ハンディング、リアム、ロア、リースは空を駆けている。
「とにかく私達はそっちに向かおう!」

彩詩達から遅れること数メートル。
バンプ、式夜、エミ、レイ、シンギ、トモが疾走している。
「ごま・・重すぎ!!」
バンプが担いでいるごまに文句を言いながらも速度を落とさない。
「きゅ〜・・鎧が重いんだもん〜」
ノペ〜っと緊張感の無いごま。
「・・・ごまを担いで走ってこの速度・・」
併走している式夜が頭を抱えながら何度目かの瞬動を使う。
バンプの速度に追いつくためには瞬動を使わなければ置いていかれる。
「式夜〜急ぐなら手を貸すよ?」
「無銘」が声を出す。
「何か手があるんですか?」
「もちろん!!私は「無銘」・・銘が無いからどんな物にでもなれる形無き物!」
刀状だった「無銘」が黒い帯状に変化し式夜の足元に絡みつく。
バチ!!
踏み込んだ一歩に雷光が爆ぜる。今までの速度を軽く超え、続く二歩目も同様の速度での疾走を可能とする。
「な・・!!」
「「無銘・韋駄天」どう?「無銘」は凄いでしょ?」
笑いを含む、「無銘」の声。
「助かる!」
「式夜、この速度維持できるな?」
いつの間にかすぐ隣にはバンプと担がれているごま。
「きゅきゅ〜速いきゅ〜」
「はい、なんとか。」
頷く式夜
「この犬っころ!!負けないからね!!」
「無銘」がバンプに対抗意識を持っているようだ。
「・・・・・「無銘」。」
「は〜い・・」
落ち込んだような声を出す「無銘」
「っとに・・こんだけの速度で走りながら何でそんなに余裕なの!!」
トモが加速用の符を展開しながら併走を続けている。
「符術士か・・居ないよりは居た方が楽ではあるな。」
無言で走っていたシンギがトモの隣へと走りより抱き上げる。
「ぇ!!ちょ・・なん!?」
「到着して終わりでは無い、戦う余力が無ければ意味が無い。ソコソコ腕は立つようだからな、運んでやる。」
トモを抱き上げた後も息一つ乱していないシンギ。
「・・・・・・」
隣には併走するレイの姿。
レイの方も息一つ乱さず、涼しげな表情のまま。
「・・・・うぃ、お願い。」
しばらく不満げな表情をしていたトモだが諦めたように息を大きく吐く。

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