《MUMEI》
一騎討ち
ギィィン!
ギリスが放った弾丸を弾き飛ばしながら距離を詰めていくロゼ。
ギリスはそれに合わせるように移動しながら距離を詰めさせない。
ギリスが持つ銃は銃弾の軌道を変化させる事ができるモノのようで、発射された銃弾が湾曲した軌道を描いて飛んできたりするが・・
(狙いが単調ですね・・銃弾の速度もそれほど速くは無い・・)
ロゼならば簡単に避けられる。
ガンガン!!
再び放たれた銃弾を弾くことも無く避け、一気に斬り掛かる。
「おっと!危ない危ない!」
ロゼの攻撃を避けながらも余裕を見せているギリス。
避ける最中にも数発撃ち込んできていたが、最小限の動作でソレを避けながら斬撃を放ち、ギリスに軽くは無い傷を負わせていく。
「そろそろだな。」
大きく地を蹴り、後退するギリスを追わず、その場で長剣を構え直すロゼ。
「・・そろそろ次の方に交代されるのですか?」
数分の戦いの間、ギリスが放つ銃弾は一撃もロゼに掠る事さえ無かった。一方ロゼの攻撃は致命傷とまでは言えなくとも軽く見れる傷を幾つか負わせている。
「は、おめでたい姫さんだな。そろそろこっちも攻めるって意味だよ!!」
ガン!!
真正面から銃弾を放つギリス。
当然のようにロゼはソレを避け・・
銃弾を避けた瞬間、新たな銃弾が正面に現れる。
「く!!」
強引な動作で二発目を避けるロゼ。
「ゴーストバレット。こいつの能力だよ。今まで撃った銃弾と同じ軌道で飛ぶゴーストを生み出せる。ゴーストの方に攻撃力は無いけどな。さらに言わせて貰えば・・銃弾自体を見えなくして撃つこともできる。」
ガンガンガン!!
火薬の炸裂音は3回・・だが眼前の銃弾の数は20を超える。
それぞれが異なった軌道を描くように湾曲し、ロゼに向かって飛んでくる。
ギギギン!!
20を超える数の銃弾を全て斬り伏せるように振るわれた長剣が実体のある3発の銃弾を叩き落とす。
強引な動作で避けた際に掠ったのか頬から血を流しているロゼがギリスに向かって好戦的な笑みを浮かべる。
「くっくっく・・それで私と戦う?虚像も実像も全て斬り伏せればそれで終わり。そして・・見えない銃弾って言うのも魔力を隠しきれて居ないのだもの。見えているのと同じよ。」
優雅とも言える動作で無遠慮にギリスとの間合いを詰めていくロゼ。

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