《MUMEI》

とある水曜日。

最近じゃ唯一の塾の休みの日。

部活を終え、家でのんびりまったりしてた。

晩御飯も作って食べたし、お風呂も入った。

あ、勉強はもう少ししたら始め…る…。

カズ兄と談笑していると、お母さんが仕事から帰ってきた。

そしてただいまも言わず、開口一番に…


「中学校、燃えてたよ。」


『…えぇ?!』
カ「はあ?!」


消防車が何台も止まっていて、黒煙ももくもくと上がっていたって…。

すぐに例の謎の電話を取り出し…使えない事に改めて気付き。

電話も面倒くさくなり、斜め向かいのさつきんちへ走った。


『学校、火事だって!』

「マジで?あのサイレンかぁ…中体連近いのに!」

『行ってみる?体育館は無事かもしれないよ!』

「うん、行こう。」


自転車の鍵を取りに一旦家へ戻ろうとすると、バイクのエンジンの音が。


「悪い、二人も乗せられない。先行ってるぞ。」


カズ兄も、携帯を片手に誰かと話ながら向かった。

母校だもんね、気になるよね。

鍵を取り、自転車に股がりいざ出発!






『うわ…。』

「嘘でしょ…。」


微かにだけど、炎が上がっているのが見える。

この位置からだと、校舎の影になって体育館やグラウンドは見えない。

どうやら校舎ではない…とも言い切れないけど、消防車やホースの向かう先、人集りを見ると…

ほぼ体育館かその横の物置に間違いない。

…泣きそうになった。


「一葉、泣くな。まだそうと決まってないでしょ。あっち行ってみよう。」


まだ泣いてない…。

とりあえず、人集りのある方へ向かった。

知ってる人も何人か居て…

あ、篠崎とその一味。


そしてその視線の先・・・



『え…。』

「はぁ…。」



まず、物置が今にも崩れ落ちそうな頼りない姿で、でもごうごうと燃え上がり炎を放ち…


その炎がすぐ横の体育館へと…燃え移って…る。


「ちょっと、冗談でしょこれ。」

『冗談だったら良い…のに…。』


どうすんの…練習…。

物置にだって、古いのだけど…バスケットボール入ってるのに。

他の運動部の物もだよ…。

てか体育館!!

負傷者は?



「よぉ。」
「来たか。」

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