《MUMEI》 探し歩いて翌日、目が覚めるとすでに時刻は昼過ぎとなっていた。 「………え!」 寝ぼけ眼で時計を確認し、跳び起きる。 「ミユウ、戻ってこなかったのか……」 つぶやきながら、部屋のカーテンを開ける。 陽は上がりきり、すっきりとした青空が広がっている。 タイキは端末を確認してみるが、当然というべきか、ミユウどころか、どこからもメールはきていなかった。 タイキは昨日のミユウの様子を思い出した。 やはり、どう考えてもいつものミユウとは少し違う。 「……まさか、何かしでかすつもりじゃないよな」 言葉にすると、さらに不安は増す。 タイキは昼食をとることもせず、部屋を飛び出した。 思いつく場所はすでに探した後だ。 手当たり次第に探すしかない。 タイキは街を歩き続けた。 探し続けること数時間。 タイキはいつのまにか旧市街地に近づいていた。 さすがにここにはいないだろうと、来た道を戻りかけたとき、ふと視界の端に見覚えのある後ろ姿が見えた。 「……ミユウ?」 そのミユウらしき人間は、旧市街地を通り抜けるように走って行ってしまった。 「あ、まって!」 思わず叫びながらタイキも駆け出す。 しかし、彼女の足が速いのか、それともタイキが遅いのか、二人の距離はどんどん離され、やがて見えなくなってしまった。 前へ |次へ |
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