《MUMEI》

「もしもし、伊佐坂先生、この間はありがとうございましたぁ…

…はい…はい……えっ…やっだぁー、ごめんなさい、置き忘れちゃて……

私の家に返しておいて下さいな……

はい、では失礼しまーす。」

サザエは満面な笑みで声高々に話しだした。

「大成功!」

「でもサザエさん、すぐに向かってくれるかしら?」

「大丈夫よ、あの爺さんにとってイヤリングは厄災だから、すぐにでも手元から放したいはずよ…」

タイ子は目を丸くした。

目の前の女の、臨機応変な悪知恵の対応に驚愕したのだった。

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