《MUMEI》 … … 大変だ。 「一葉、どうだった?」 さつきの質問に口で答えるかわりに、あたしはそれを突き出した。 「…。なにこれ。」 『…やばい…です。』 「…仕方ないじゃん?色々あったし…一葉も完璧じゃないんだから。」 『その色々があの塾に通じると思う?!(泣)』 「全く思わない。」 『…はぁ。』 先日終えたテストの順位が返って来た。 中1の最初のテスト以来初、3桁を取ってしまった。 冗談抜きでまずい。 「一葉ー!」 『サユ…あたし部活出られなくなるかm』 「テストも落ち着いたし、頼むわ!」 『ん?』 「真治くん!!」 『…サユのタイプかもってやつ?』 「教室連れてって♪」 『へ?!だから知り合いではないんだってっ。』 「喋った事あるんでしょ?じゃあ大丈夫だよ!!」 ジリリリリリリ!! 「…うざ。」 『…また火災報知機。』 ジリリリリリリ!! あ。 『サユ、教室行かなくても大丈夫そうだ♪』 「へ?」 ジリリリリリリ!! くいっと指を指す。 「あの人?!」 『うん♪』 「…めっっちゃタイプ!!」 あ、そうだ。 火災報知機が鳴った、っていうのにこんなに落ち着いている理由は、火事以来、誰かがふざけてそれを鳴らすようになったから。 もう、今更って感じで。 本当に火事になっても…今の火災報知機は狼少年だ。 「一葉、ちょっと…。」 『何?何?!』 サユにぐいぐい背中を押されて、行き着いた先は… 前へ |次へ |
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