《MUMEI》
-悠生さん-
公園でひとり
自転車の練習をしてた。
小学校の4年にもなるのに
俺は自転車に乗れなくて
乗り方も、練習方法も
わからなかった俺に
自転車の乗り方を
そして
スケボの乗り方を教えてくれたのは
悠生さんだった。

その時高校生だった悠生さんは
何も言わずに近づいてきて
ゆったんだ

「怪我したっていんだ、出来なくたっていんだ。お前のやってやるぜって気持ちが、前に進ませんだ。信じろ、自分を」



頷いて、ペダルを漕いだ。
転んで足を怪我しても
何もゆわずに自転車を立てて
顎で「行け」って悠生さんを
信じて何度も漕いだ。

足も傷だらけになって
辺りが暗くなってきた頃、
悠生さんはコ-ヒ-を買ってきて
俺の隣に座った

「ガキじゃコ-ヒ-飲まね-か!笑」

「‥」

「お前名前は?」

「‥る‥ひかる‥」

「ひかるか、いい名前だな。名字は?」

「‥」

「名字なんてんだ?」

「‥ない」

「ない!?お前おもしれ-な!俺は悠生。ゆうきだ。俺も名字はない!笑」

「‥ないの?」

「ない!今捨てた!お前がないんじゃ、俺にもない」

「‥それ‥なに?」
「これか?スケボっつんだ。自転車みたいなもんだ。乗るか?」

「いい‥」

「いつか自転車に乗れたら、お前にこれやるよ。俺は自分を信じて、こいつを信じる事にしたんだ。今日からこいつが俺の人生」


今思えばあの時
悠生さんは学校を辞めて
ボ-ド一本で生きていく事を決めたんだ。
今ではお前のおかげだ
なんてゆってるけど
あの日に学校を辞めてきてたんだ。
成瀬高校を卒業したかったと
悠生さんがゆっていた。
だから俺は
この高校に入ったんだ。
本当の兄のように
慕っているから

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