《MUMEI》 「すみません…」 「は?」 頭を下げる大志を、服を着ている果穂が不思議そうに見つめた。 大志は、今まで果穂が相手にしてきた男達とは、反応が違っていた。 そもそも、果穂が認める優秀な男は、大体自信家が多くて、こんな、謙虚な態度は見せた事が無かった。 果穂は自分が美しい事も、人より優れていることも、自覚していた。 ちょっと誘えば、男達はすぐにその気になり、果穂に夢中になった。 なのに、大志はそんな様子も無い。 「何が、『すみません』なの?」 「酔ってたとは、いえ…その」 大志は口をモゴモゴ動かした。 純情な反応が、果穂には新鮮だった。 「私が大志をヤッたのに?」 女神のような微笑みと美声で、果穂がとんでもない事を言ったので、大志は絶句した。 「そうね〜、そんなに言うなら…」 果穂は、着始めた服を、また脱ぎ出した。 そして、未だ裸の大志に迫る。 「もう一回、今度は大志がちゃんと抱いてくれる?」 「だ、駄目ですよ!高山さん!」 「『果穂』って呼んで…」 果穂が大志に唇を近付けた。 後数センチで、唇と唇が触れる距離で… 大志が果穂の唇を手で押さえた。 前へ |次へ |
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