《MUMEI》 「駄目です!」 驚いて目を開けた果穂の体を自分からはなすと、大志は果穂が脱ぎ捨てたシャツを果穂に、着せ、ボタンをしっかりはめた。 それから、大志は自分も服を着ると、ベッドで呆然と座っている果穂の向かい側に、正座して座った。 「高山さんは、そんなに綺麗で、聞いた話に寄ると、頭もいいって言うのに、こんなに自分を安売りしちゃ駄目ですよ」 「安売り?」 果穂は首を傾げた。 「こういうのは、本当に好きな人とするべきです」 「私、大志好きだけど?」 果穂の言葉に、大志は首を横に振った。 「一生、この人じゃなくちゃ駄目ってくらい好きな人とじゃなくちゃ、いけませんよ」 「一生…」 大志が頷いたので、果穂は、 「じゃ、私と結婚して」 と言ってみた。 すると… 「馬鹿ですか?!あなたは!」 真っ赤になった大志は怒って部屋を出ていった。 果穂の言葉に、嘘は無かった。 大志と一生一緒にいたら、退屈しなそうだと、果穂は思った。 それにしても、果穂を『馬鹿』と呼んだのは、大志が初めてだった。 「逃がさないわよ…」 一人、ベッドで果穂は呟いた。 前へ |次へ |
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