《MUMEI》 一葉の過去3「近くに自転車止めてるんだ。ちょっと取ってくるから、校門で待ってて。」 『うん、わかった。』 …わかったけど、つまり一緒に行くって事? 30分以上も一緒に…緊張して吐きそう。 … 「ごめん。じゃ、行こっか♪」 『うん!』 「…後ろ、乗る?」 うわあぁぁ! 今日は自転車で来なきゃ良かった…。 『…ありがと、でもあたしも自転車で来てるんだ。もうちょっと行ったとこの、空き地。』 「一葉も?(笑)なら、そこまで乗っける。」 『え…。』 「…早くしないと遅れるよ?」 『…うん!』 やっったあ!! 嬉し過ぎる! …でも、心臓飛び出しそう。 「おし、じゃあ出発♪」 … これ… どこに摑まればいいんだろう…? 『ぅわっ!』 「…ちゃんと摑まってくれないと、落ちるよ?」 『うん…っ。』 「勝手に落ちないでね♪」 『なっ…なにそれ!』 「♪」 …男の子の背中にしがみ付くなんて…最近じゃカズ兄以来じゃん。 カズ兄は割りとキャシャだけど、篠崎は割とがっちり。 あと違うのは… 『…いい匂い。』 「ん?」 『!!…なんでもない。』 「…あの3年と知り合いなの?」 『あ、そうじゃないよ。サユが真治くんを気に入ったみたい♪』 「じゃあ、一葉は付き添いって感じ?」 『ん〜…まあ結果的には。付き添いって言うか、仲介かな。』 「それって知り合いだから出来る事なんじゃねーの?(笑)」 『違うの!ホントにただ1回喋った事があっただけなのに、サユが突っ走っちゃって、笑。』 「へぇ…なんかあったの?あいつと。あいつチャラいだろ。」 『確かに…そういう部分もあるよね。でも、良い人なの。』 「どう?」 『花…見てたから。』 「は?」 『だから、花壇。花咲いてるじゃん。見つめてた。』 「うん、まあ。…で?」 『それで…ほら、元々有名人だったじゃん、入学式早々からやってくれて。でも、あの人もあんな顔するんだな〜って、あたしも見惚れた。』 「それから?」 『それから…そしたら、向こうにも気付かれて、笑。で、ちょっとだけ喋ったの。…それだけ。』 「…その時喋って、良い人だと思ったの?」 『それもあるけど…今時花を見つめる少年なんて居る?(笑)あの顔だけで充分、本当は優しい人なんだって感じた。』 「だから見惚れたんだ?(笑)顔もかっこいいし…な?(笑)」 『…なんか意地悪じゃない?それっ。』 「そう?♪」 別に…かっこ良いからとかじゃないんだけどね。 普通の人に言わせると間違いなくイケメンで、あたしもかっこ良いとは思うけど別にときめかない。 それに、あのチャラい感じだけは苦手。 前へ |次へ |
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