《MUMEI》

俺はビルの屋上の仮設ヘリパッドに、ローターを回したまま待機しているヒューイに乗り込んだ。

舞い上がる機体の眼下には、都市を逃げ場もなく走り回る民衆が見える。

方々に見える黒煙を尻目に機体は海へと向かった。

洋上に待機する、ミッドウェイからは、突き出されて海に落ちるヒューイが見える。

もぅ、空母に収容出来ないのだ。

海に捨てられていくヒューイ達が、この戦争の終わりを物語っている。

北の領空やトンキン湾で散った仲間達、あるいはジャングルの中で遠い本国を想いつつ倒れた兵士達を思う…。

この戦争は終わったのだ。

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