《MUMEI》 日曜日。 「何で…?」 果穂と共に高山家を訪れた大志は、混乱していた。 二人は到着するとすぐに、居間に通された。 そこにいたのは… 果穂の父・秀貴(ひでたか)と、母・果子(かこ)と、妹・果純(かすみ)の三人だった。 果穂から聞いていた見合い相手の姿は… どこにもない。 「君が大志君か」 迫力のある風貌の秀貴が、大志を睨んだ。 「は、はい」 大志は、緊張した。 「調べはついてる。…『合格』だ」 「は…?」 何の事かわからない大志に、 「やった!」 果穂が抱きついてきた。 「ちょ、ちょっと」 大志が慌てると… 「いいじゃない、私達結婚するんだから」 と、果穂が言った。 … 「は?!」 大志が、驚くと… 「だって、大志さん、姉さんに食われたんでしょう?」 と、果穂によく似た果純が口を開いた。 「それに、これだけ優秀なら、問題無い」 秀貴は、手元の資料を見ながら言った。 それは、探偵に依頼した大志に関する調査報告書だった。 「天涯孤独なら、うちにお婿に来れますし」 果子が嬉しそうに言った。 果子の言葉通り、大志は数年前交通事故で両親を亡くしており、親戚もいなかった。 前へ |次へ |
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