《MUMEI》

「いや、あの、そう言われても…」

高山家のパワーに圧倒されつつも、大志は反論しようとしたが、

『果穂のどこが不満だ』と押し切られてしまった。

「じゃ、あと、『もう一人』に許可を得ないとね」

実家を後にした果穂は、呆然とする大志を自分の車に押し込むと、大学近くの果穂のマンションに向かった。

「ただいま」
「おかえり」

果穂と大志を出迎えたのは…

マンションの『同居人』の桜子だった。

大志は今度は『親友の許可』を得ようと、果穂にここまで連れてこられたのかと、思った。

「紹介するわね、大志」

果穂は、桜子の隣に並んだ。

そして、

「私の『彼女』の桜子」

と、言った。

『彼女』

その言葉に、大志が固まっていると、

「果穂ちゃん、私を紹介するって事は、彼と結婚するの?」

と、桜子が果穂に質問した。

「桜子が大志を、大志が桜子をお互い認めたらね」

と、果穂は答えた。

「あの、今『彼女』って…」

大志が恐る恐る口を開くと、

「「高校の頃から付き合ってるの」」

と、二人は口を揃えた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫