《MUMEI》
「秀幸?」
「あのな、わざとじゃねーからな!アイツが勝手にハワイに行ったんだからな!」
「は?ハワイ??は?」
秀幸は俺の缶ビールを取り口をつけた。
「空だよ」
「う゛!」
秀幸は頭をかきながら俺の隣に来る。
俺の肩に腕を回しギュッと抱き寄せながら
「言わなきゃなんねーってずっと思ってたんだけどつい、言いはぐって!」
「だから誰!」
「うん…」
本当は誰か想像ついてんだけどね…。
あの人と偶然帰国の便一緒だったからいっぱい話したんだ。
まさか秀幸と親友だとは思わなかったからめっちゃびっくりしたけど。
――父さんの為に秀幸を利用して俺と引き合わせた事を深く謝罪された。
余りにも真剣表情だった。
バーで見せていた余裕がまるで…見えなかった…。
「ね、俺に渡すモンあって来たんじゃないの?」
「へ?」
「佐伯さんがさ、秀幸に買わせるから何が欲しいって言うから、アーカーのクロス選んだんだよね〜、免税店で慌てて急いで選んだからまだ良く見てないんだ、早く頂戴!」
秀幸、ポカンと俺を見ながら固まっている。
「ハハハ…何だよ…、はー…そういう…事かい!佐伯の奴!!」
「フフフッ、佐伯さんに感謝だねー!」
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