《MUMEI》 果穂は、やっと貴子の機嫌が直ってホッとしていた。 しばらくして、大志が大と秀を連れて帰ってきた。 「志穂は?」 「トイレ」 果穂の言葉に、大志が『そうか』と納得した。 それから、数分経っても志穂は戻ってこなかった。 さすがに心配になった果穂が、探しに行こうと立ち上がった時― 果穂の携帯が鳴った。 画面には、『公衆電話』と表示されていた。 「もしもし」 『もしもし、久しぶり』 「桜子?」 最近音信不通になっていた、『元恋人』の突然の電話に、果穂は驚いた。 『うん。ちょっと、帰ってきたの』 「そう。ごめんね、今ゆっくり話してる時間無くて…」 すると、桜子が… 『志穂ちゃん、可愛いね』 と言った。 「え?」 果穂は、耳を疑った。 桜子は、志穂とは面識が無いはずだった。 『四人もいるなら、いいよね、果穂ちゃん』 桜子が、甘えるような口調で話しかけてきた。 「桜、子…?」 果穂は、嫌な予感がした。 前へ |次へ |
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