《MUMEI》 相変わらず、篠崎は何を考えているか掴めない。 黙っちゃうと…次の一言が怖い。 「暗くなって来たね。」 『うん。』 「寒くない?」 『…へーきっ。篠崎は?』 「俺は…寒い。移動しない?時間ある?」 また気遣う…。 ジャージは寒いんです。 『ごめん、ホントはあたしもここ寒い!どっか行こ!』 「やっぱり?(笑)じゃ、暖かいラーメン食いに行こう♪」 『うまぁ!』 「…一葉、辛いの食えるんだ?」 『え、好きだよ辛いの!…わさびの辛いのは無理だけど。』 「なんだよそれ(笑)」 あたしは辛味噌。 篠崎はチャーシューメン。 食べ終わって、あたしは制服に着替えて… 塾まで送ってくれた。 『…鬱だ。』 「…結果、悪かったの?」 梓。 『101番…。』 「え?!それってどうなの?」 『大変まずいです。梓はどうだった?』 「私はこの塾来て上がったんだ、40番。まあこっちは200人しか居ないから。」 『200人かぁ…うん、でも凄い!良かったね♪』 各学校・学年単位での人数なんて関係ないよ? 今日は、恒例のテストの結果についての個人面談だ。 「次、大島ー。」 『はい。』 「…。」 『…。』 「なに、これ。」 『…すみません。』 「どれだけ下がったか分かってる?」 『はい。』 「理由は?」 『…勉強不足です。』 「勉強しなかったの?」 『え…いえ、しました。』 「…2回も倒れたって?ん〜…あとはなんだか学校行事と…火事、それに中体連が近いよな。」 まずい…バレてる? 『…全部関係ないです。』 「バスケ部だろ?いつだったかの練習試合で、お前らの学校がうちの娘の学校に来てたの見たんだよ。」 『え?!娘さんバスケ部なんですか?てか…じゃあその時からバレてた…』 「うん、大島も見たよ。ちっちゃいのがよく走ってた。」 みんなちっちゃい言うけど、背の順に並ぶと必ず前に2、3人居るんですけど。 じゃなくて… 『すみませんでした、部活禁止なのに。』 「いや、俺あれ見て今年から方針変えたの。部活動は自由、でもやるなら必ず両立させろって新規生に言ってる。」 『へぇー…。』 「だから大島も、続けるなら二度とこんな成績残すな。自分の中の言い訳にもするな。選んだのは俺じゃなくてお前だからな。」 『…はい!』 「約束しろよ?俺も預かった責任があるんだ。」 『はい、約束しますっ。』 責任か…広田も塾長も、大人って大変なんだね。 前へ |次へ |
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