《MUMEI》 「いるに決まってるでしょう!」 悪戯っぽく笑う桜子を睨みながら、果穂は志穂をきつく抱き締めた。 「かあさん、くるしい…」 志穂が、果穂の腕の中でもがいた。 「ああ、ごめんごめん」 果穂は、慌てて腕をゆるめた。 深呼吸している志穂に、桜子は近寄ると… 「志穂ちゃん、私の歌、好き?」 と質問した。 志穂が満面の笑みで大きく頷くと、 「じゃあ、頑張ろうかな! いろいろごめんね、果穂ちゃん。 …いらなくなったら、いつでも言ってね」 と言って、部屋を出ていった。 ―これ以来。 果穂は志穂に対して過保護になり… 『知らない人に名乗らないように』 と、志穂に約束させた。 ―そして、数年後。 オペラ歌手として、桜子は『世界の歌姫』『奇跡の歌声』と言われるほど、大成功をおさめる。 『果穂と桜子と志穂の秘密』 【完結】 前へ |次へ |
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