《MUMEI》 「どうしたの?来月まで予定びっしりだったんでしょう?」 やば、こいつなら何にも聞かれないだろうと思っていたけどフォローしきれない。 やっぱりレイみたいにはいかないんだ……。 来たからには身体が欲しいのか、さっきから纏わり付く手が邪魔くさい。 「……本読めない」 ビカビカに手入れされた赤い爪を払ってみる。欝陶しい。 あらゆるタイミングを見計らっては仕掛けてくる。 「あのさ、私のこと勘違いしてない? 私はあんたには都合のいい女かもしれないけど、私にとっては違うの。抱くつもりないなら出ていってくれないかな。」 ……畜生。 「じゃあさ、金貸してくれない?」 ちっくしょお……。 通院代も馬鹿にならねーし、パチはスってばっかだし。俺、何しているんだか。 前へ |次へ |
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