《MUMEI》 そこにいたのは、夕飯を持った志穂だった。 「そろそろ、お腹すくかなと思って… お風呂はね、後一時間したら入れるわよ。 祐、その頃には部屋に戻ってるから」 志穂は、希の考えを読んでいた。 希は志穂にお礼を言うと、夕飯を食べ、お風呂に入った。 「ひどいでしょ、祐のヤツ! 『彼女』いるのに!」 お風呂から上がった希は、洗い物をしている志穂に怒りをぶつけていた。 希が怒っていた理由は 祐の相手が雅樹だったからではなく… 祐には、安藤沙希(あんどうさき)という、れっきとした『彼女』がいるからだった。 「うん。祐から、話聞いた。 明日、慎が帰ってくるから、皆で、話そう」 そう言った志穂は、何だか複雑な表情をしていた。 そんな志穂を、希は不思議そうに見つめていた。 その夜は 志穂と希の二人で ダブルベッドで眠った。 前へ |次へ |
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