《MUMEI》 中体連数日後。 「ね、あの辺に居るの結衣ちゃん達じゃない?」 『ん?…あ、見つけた♪』 何か叫んでいるっぽいけど、雑音でここまでは聞こえない。 今日は中体連バスケ女子の初日。 今でも借りている、例の市民体育館が会場だ。 男子は昨日が初戦だったけど、シード権獲得の為明日が本番となる。 北中の初戦は、Aコートの2グループ目、10時15分から。 それに合わせて北中の生徒が続々と入って来ている。 1グループ目がゲームを終え、北中とその対戦相手の学校が時間までアップをしていた時だ。 広田が、サユとあたしに声を掛けて来た。 「あの8番よく見ておけ。」 「はぁ…。うわ?!」 『あら。』 見るからにゴール下の守護神、センターなのはわかるんだけど… 物凄く怪力。 かつ豪快、迫力満点。 「あれを相手にするんだからな。ヌルいパスやシュートは絶対すんなよ。」 …。 あ… …。 広田、心配するなら… うちの生徒の体を。 あの人、パーソナルファウルで退場になるから。 先発メンバーが発表された。 3年生の中に一人、桐子が選ばれた。 さすが次期キャプテン候補。 互いのチームが向かい合い、一列に並び挨拶を交わす。 今、試合が始まろうとしている。 前へ |次へ |
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