《MUMEI》
序章
最近、毎晩同じ夢を見る

毎晩

顔の見えない男の人が、私に向かって囁く

『主(あるじ)…』

とても、優しい声

でも…

私は、そんな風に呼ばれる心当たりは全くなかった

「誰、なの?」

私の問いかけに、

『一日も早い、目覚めを…
お会いできる日を…

心より、

お待ち申し上げて、

…』

切なげな、その声は

どんどん遠ざかっていって…

「待って!」

そう言って…

私は

毎朝、目を覚ますのだった

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