《MUMEI》
肌色
「また、同じ夢…」

目を覚ました私は、一人、布団の中で呟いた。

それから、昨日寝る前に枕元に置いておいた洋服に着替える。

そして、同室の子達を起こさないように…

そっと、『女の子部屋』を後にした。

時刻は六時。

今は三月だから、まだ少し外は薄暗かった。

私は、共同の洗面所に向かうと、自分の名前のラベルが貼られた洗面用具を戸棚から取り出した。

顔を洗い、軽く歯も磨く。
そして…

髪を整えながら、鏡の中の、自分の『色』を、確認する。

「これが、『肌色』」

人の、肌の色。

人から言わせると、私の肌色は、白に近いらしい。

これより、少し濃いのが、普通の、肌色で、もう少し濃いと、小麦色と呼び名が変わるらしい。

とにかく。

鏡を見て、毎朝自分の肌色を確認して…

『人間は肌色』

そう確認するのが、私の日課だった。

私は、確認を終えると、洗濯機に洗剤を入れてスイッチを押し、朝食の支度をするために台所に向かった。

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