《MUMEI》

さっき私が『肌色』と確認した部分―皮膚が、全て『青』なのだ。

「透、挨拶は?」
「ゆき姉ちゃんだって忘れてんじゃん。おはよう!」
笑顔で挨拶しても、透はやっぱり『青』だった。

「おはよう。運ぶの手伝ってね」
「うん!」

そして、私達は、『五人分』の朝食を広い食堂の机の中央に、並べた。

全盛期は三十人近くの子供達が、ここで生活していたが…

今いる五人が『最後』だった。

ちなみに、小学五年生の透は、『最後の男の子』だった。

その透も、里親が見つかり、一週間後には、ここを出ていく。

私以外の三人の女の子達も、同様で、遅くとも今月中にはここを出ていく事が決まっていた。

一人残る私も、三日後高校を卒業し、四月からは寮のある会社で働き始める事になっていた。

後少しで、皆バラバラになる。

そうなれば、おそらく、二度と会う事は無い。

皆、それがわかっていた。
だから…

「「「おはよう」」」

そう、笑顔で私と透に挨拶する三人の女の子達も

『青』だった。

「おはよう」

私は、何もないような素振りで、挨拶を返した。

『青』

それは

『悲しみの色』

だった―

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