《MUMEI》

それでも七生の大きな掌が腕を捕まえると逃げられない。
自分が嫌になる。

喧嘩しているのにどうして七生を拒めないんだ?

でも七生の潤んだ黒目がこっちを見るとキスしてもいいかなとか思ってしまう。

七生の手が顎に触れればキスが来ると分かってしまう。
それだけ俺に七生が流されているからか……




「   ン…………」

七生の唇の温度は俺よりも温かい。
つい、熱の篭る息を吐く。
唇でこんなに温かいのだから身体はもっと温かいのだろう。

なんか甘いのが垂れてきた。
粒が歯に当たる。


ああ、ナタデココ入りなんだ……。



口から移されてだらだら零れるジュースを指の腹が拭っているようだが、本人は塗りたくっていることに気が付いていない。

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