《MUMEI》

「良かったね」
「うん、うわ〜、緊張するよ!」

汐里の『橙』が、ますます明るく強く輝いた。

「お願い、ゆき!一緒に来て!」
「何で、私?」

汐里にギュッと手を握られながら、私は首を傾げた。
(他にも部員は沢山いるだろうし…)

理由がわからなかった。

「ゆきなら、純粋に私だけ応援してくれそうだから!
お願い」

汐里の説明に、私は更に眉間にしわを寄せた。

「どういうこと?」

「いいから!お願い」

汐里が頭を何度も下げるので、…

私は、一応病院に連絡し、義母の体調を確認した。

それから、義母に、状況を説明し、了承を得た。

「…応援、するだけよね?」

「うん!ありがとう、さすが、友達!」

汐里はそう言って、私に抱きついた。

そして、私は、汐里と一緒に、女子部用のバスに乗り込んだ。

ちなみに、男子部も一緒に試合をするらしく、そちらも専用バスがあった。

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