《MUMEI》 (良かった) こうして私はようやく席につく事ができた。 私は三つの席のうち、二つに三人の荷物を置いて座った。 女子部の試合が始まるというのに、『桃色軍団』は、まだ騒いでいる。 汐里は相変わらず『橙』で、集中しているように見えるが… 汐里以外は、選手も『桃色』で、試合などどうでもいいような様子に見えた。 これでは、楽しみにしていた汐里が可哀想だ。 私がそんな事を考えていると… 「試合を見る気が無い者は、今すぐ出ていってくれ!」 突然、『男の人』が叫んだ。 すると 一斉に『桃色軍団』が静かになった。 そして、『桃色軍団』が、うっとりした表情で、剣道着姿の『男の人』を見つめている。 という事は… あの『男の人』が 『御剣様』 ということになる。 (何、あの人…) 私は、御剣『様』の 『色』 に 驚いた。 というより… 彼には、はっきりした 『色』が 見えなかった。 しかも… (こんなの、初めて…) 私には、『とにかくかっこいい』という 顔も 姿も 霞んで見えた。 とにかく、ボヤけた輪郭の彼は、女子部の試合の審判をするために、中央に立っていた。 前へ |次へ |
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