《MUMEI》

『御剣様効果』だろうか。
汐里を除く選手達は『桃色』のままだったが、

素人の私から見ても、一生懸命だった。

残念ながら、実力は和泉学園の方が遥かに上なので、団体戦形式で行われた試合は、大将の汐里に回ってくる前に、勝敗はついていた。

しかし…

「せっかく来たんですから」

と、御剣『様』が提案してくれて、汐里も試合をする事になった。

良かった。

「汐里、頑張って!」

声援を私が送ると、汐里は笑顔になった。

そして、すぐに真剣な表情になって、面を付け始めた。

私は、ドキドキしながら見守っていた。

すると…

「「「ちょっと、早くどいてよ」」」

あの三人の『桃色』さん達が、席に戻ってきた。

「え、あの…」

約束が違う。

確か彼女達は、『御剣様の試合』まで、帰ってこないはずだった。

『御剣様』の…

(そうか!)

今、彼女達のお目当ての『御剣様』は、目の前で、審判をしている。

どこかで情報を得た彼女達は、それで、予定より早く戻ってきたのだ。

「ほら、早く」

(そう言われても…)

私も、汐里の試合が見たかった。

すると

ドンッ

私の席に座るはずの女の子が、私を突き飛ばした。

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