《MUMEI》
喫茶店
梨花逹は学校の近くの喫茶店へ入った。



店の中は、梨花逹の他に3ペアくらいしかいなくて、静かだった。


梨花は座り直してから、男に尋ねた。


「あの、あなたの名前は…?」


「俺?…俺は亜稀(アキ)。お前…俺の事も覚えてないのか……。」


亜稀は肩を落としながら、呟くようにそう言った。


「ごめんなさい。私、2年前、気が付いたら知らない家に居て、知らない人逹に梨花って呼ばれていたんです。だから自分が何歳なのかも……」
梨花はうつ向いた。


「そうか。多分“あの人”が周りの記憶をいじったんだ。」


亜稀は独り言のように呟く。

“あの人”とは誰の事なのだろう?

私は何者なのだろう?


「る……梨花は自分が何者なのか、知りたいか?」


梨花は少し考えてから、

「知りたい」


そう答えた。

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