《MUMEI》

「ちょっとでも余計に好かれたくて頑張ったりネコ被ったりって事だよ、あーご馳走さま!」




「考える事は同じって事かー、あ、秀幸は今日オフだよね?」



「ああ、ゆうちゃんは夕方からだっけ…」




「お願いあるんだけどさ〜!」




裕斗は立ち上がりカップボードの引き出しから大きなビスを持ってきた。




「このネジなんだけど…」




裕斗が俺にさっと渡してきた。




「ベッド組み立ててたら余ったんだよ、それに上手くハマってない所もあってさ、見て欲しいんだけど…」



「ゆう…ちゃ…ん」




「お願い!もーこんなの秀幸にしか頼めないし!!」










ベッドをひっくり返して見るとビスがどこそこ最後まではまってねーわ、ずれてるわで!







「おかしいと思ったんだ!
幾ら何でもギシギシ鳴り過ぎだって思ったんだ!」




「あとさ、まだ組み立ててないラックもあるんだけど…」





「…玄関に立掛けてあるやつだな?箱から出しとけな」




「うん!やった!もー秀幸大好き!!」



安っぽいドライバーでビスを外す俺の背中に、頬を擦り、絡みつきながら甘えてくる、可愛い恋人。




明らかに作業の邪魔なのに、やりづらいのにそのままでいて欲しくて、俺は幸せを噛み締めながら作業する。




「タンスもあった方が良いだろ、組み立ててやっから買いに行くか?」



「本当!やったっ!」



「そのかわりだな…」




俺はドライバーを床に置き、俺の胸に掴まる裕斗の手をギュッと握りしめた。



「帰ってきたらエッチな!しかもエロいご奉仕付きで!」



「な!エロいご奉仕って何!何して欲しいんだよ」



俺は振りかえり裕斗を引き寄せ、



耳元にボソボソと話かけた。




「……!エッチだ…!」



裕斗は真っ赤になって俺を見る。



「マジか」




「マジだ!」

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